ロング・バケーション

翌朝、一番に初詣に向かった。
三が日ずっと仕事漬けだったから邪気でも祓えば?とドクターに言われて。


(私からすると先生のお誘いも邪気に近いんだけど)


今日は簡単にはベッドに誘われないぞ、と意気込んできた。噂では、ドクターは声をかけた女子とは必ず一度寝ると聞いているから。



「それにしても空気が澄んでて気持ちいいですねー」


空を仰いで手をかざす。
大きな神社の参道の真上には、快晴の空と千切れ雲が浮かんでいた。 


「此処も三が日は人出が多くて大変だったろうね。今日は人も少なくて歩きやすいけど」


何処かの神社に参ったのだろうと思われるドクターの言葉を耳にしながら、何処へ行ったとか、誰とかなんて詮索するだけ虚しいと感じる。


「先生達はいいですよね。三十日から今日まで六連休だから」


羨ましいが妬ましくもあり、つい恨めしい言葉を言ってしまう。隣を歩くドクターは振り返り、んーまあね…と否定もせず。


「私も休んでみたいな。年末年始に六連休とか取ってみたいもんです」