奇しくも紹介する羽目になり、彼は少しだけ肩を竦めた。


「そうでしたか。この度は義父がお世話になりました」

「お陰様で助かりました」


彼に近寄り、さっきの私と同じ言葉を述べる両親。
同じことを二度も言われたドクターは苦笑し、助けたのは自分だけではないので…と遠慮した。


「娘さんも立派でしたよ。落ち着いて指示を出していたし、ホテルの方達も必死でした」


代わる代わる心臓マッサージをしてくれたお陰なのだと語り、それに比べたら自分は何もしていないと謙遜する。


「それでもあの場に居て下さって良かった。お礼は今度改めてさせて頂きます」


重ねて述べる父に、ドクターは本当に何もしなくていいです…と断りを言う。
それから困った様に私を見て、何とかして欲しいと願う眼差しを向けてきた。


「お父さんもお母さんも、お礼はもういいから」


「そういう訳にはいかないよ。いつも凛がお世話になっているのに」


「そうよ、それに今回は父までお世話をかけちゃって」


申し訳ございません…と謝る母に、流石の彼も戸惑い気味で。


「いや、あの……弱ったな」