「色々とお世話になりました。お陰様で助かりました」


家族としてお礼を述べた。
さっきのドクターも言っていたが、あの場にこの人がいなかったら、私はパニックに陥って、正しい対応が出来なかったかもしれない。


「いや、そんなお礼を言われる様なことはしてない」


さらりと受け流す人に頭を振る。
いいえ…と反論したくなったけれど、そこに走って来る人達の足音が聞こえ__



「凛…!」

「お父さんは!?」


男女の声にドクターが振り返り、目の前の視界が広がる。



「お父さん、お母さん…!」


二人に駆け寄り、ほぅっ…と深い息を漏らした。
肩を抱く父に祖父の容態を聞かれ、何とか命は助かった…と教えた。



「そう……良かった……」


深い溜息と共に母が安堵する。
父はその母の背中を撫で、私はコクンと頷いた。


「倒れた場所がホテルのロビーで良かったの。ホテルマンが直ぐにAEDを持って来てくれたし、偶然だけど勤務先のドクターも居て…」


彼を振り返り、あの人です…と目を向ける。


「同じ法人内の病院に勤務している城島航さんです」