「因みに、私はいずれ彼と結婚もしたいから、今は我慢をしてるとこ」


早く一緒にはなりたいけれど、きちんとお金も貯めたいと話す一咲。


「その点、凛ちゃんは何の問題もないから羨ましいよね。
だって、センセについて行っても生活は安泰だし、例えば断ったにしてもナースという仕事柄、収入は安定してるしね」


どちらを選んでも困らないと話す一咲に、そんなこともないと言いたくなったが……



(そうよね。そうかもしれない…)


何となく、彼が怒った理由が分かる様な気がした。


彼はきっと、自分がプロポーズをした時に躊躇っている私を見て不安を感じたのだ。

そこへ縁談を断るとは言え、祖父の願いをあっさりと聞き入れてしまった。

自分の申し出の時には不安そうな顔をしていた私が、断る為とは言え、条件の違う相手と会うと聞かされて、頭にきて___



「どうしよう…」


彼に嫌われたかもしれない。


「何が?」


「だって、彼が私のこと嫌いになったら…」


「どうだろうね。嫌いになったかどうかは本人に聞いてみれば?」