「俺が相手の立場なら、その気もないと言われてても、会えたらラッキーだと考えるよ。

相手にも何とかして気に入られようとするだろうし、会えるイコールどうとでも出来ると思う。

なのに、凛はそんな奴に会うのか?」


「だって、おじいちゃんがお願いと言って頭を下げるものだから」


「君はお祖父さんが願ったら何でも言うことを聞くのか?俺には実家の財産なんて興味もないと言っていたくせに、それが絡む相手と話をすると言うんだな」


「いえ、そういうつもりで会うんじゃなくて」


「じゃあどういうつもりなんだ。君がお祖父さんの顔を立てて会うということはつまり、実家の財産を蔑ろには出来ないと思うものがあるからじゃないのか」


捲し立てる口調が厳しく聞こえ、少し戸惑ってしまった。

自分としては亡き祖母に思いを寄せて決めただけのことが、彼にとってはそうではないのだと実感して。


「結局凛も、他の女性達と同じってことか」

ドクターはそう言いながら唇を歪ませる。
悔しそうな表情に変わり、私はものが言い出せずに困った。