「たった一度だけ会えば向こうも納得がいくだろうと祖父が言うものだから、今度の日曜日に会って直接断りを言うことになったんだけど」


折角休みが合うけれど、残念ながらそういう理由で昼間は会えないと話すつもりだった。
なのに。


「会うのか?それもう決めたのか!?」


驚く彼にギクッとしつつも、うん…と首を縦に振る__


「そんなの駄目だよ。会えば相手の思うツボにハマるって」


断れと言おうとする彼に、大丈夫ですよと言い返した。


「祖父も私にはその気がないと言ってるみたいだし、面と向かって断っても大丈夫だと言われてるから」


顔つきが強張る彼を刺激しない様に微笑んでみた。なのに、彼は眉間に皺を寄せて__。


「凛はそのお祖父さんの言葉を信じてるのか?」


「えっ?ええ、そりゃ」


一応血の繋がった関係だから、と思い返事をした。
彼は、私の声を聞いて落胆した様に息を吐き出し、箸を置いて左手で額を抱え込んだ。



「凛は何も分かってない」


そう言うと両手を組み合わせる様な姿勢をとり、交互に組んだ指の上に顎を乗せ、自分なら…と話しだした。