その日の夜、彼の部屋に招かれた。
翌日も私が休日だから、一緒にゆっくり過ごそうと言われて。


「今日はブリ大根を作ってるんだ」


この間の日曜日は実家へ帰ったらしい彼は、その時にブリの切り身を貰い、今夜はそれを大根と一緒に圧力鍋で煮込み、真っ白なご飯や豚汁と共にテーブルへと並べた。


「わあっ、ご飯がツヤツヤ」


輝くお米に感動すると、地元の農家の人がくれたのだと言う。


「その家のおばあさんが実家の患者で、往診のお礼にと言ってくれたんだ」


この大根もそうだよと摘み上げる。
和気藹々とした町の雰囲気がよく分かり、いいなぁ…と言って頬張った。


「甘い!」


驚くような大根の甘さに目を見張る。
お米も噛めば噛むほど甘くて、思わずパクパクと箸が進む。


「良かった。凛に喜ばれて」


熱燗を飲みながらブリを啄むドクター。
ワインやカクテルなどの洋酒系には弱いけれど、日本酒は少しくらい飲み過ぎても酔わないと言っていた。


「今日は何をして過ごしたんだ?」


食事をしながら問われ、実家へ行きました…と話した。