祖父には座ればいいと椅子を勧められたが落ち着かなくて、そのままリビングのソファへと向かった。

私が動くとメグとジュンが走り寄り、ソファに座ると三匹ともが膝の上に群がって、自分を抱いて欲しいと言わんばかりに鳴きだした。



「皆本当に凛が好きだな」


父は笑いながら愛犬達を見ている。
祖父はそんな父の言葉を無視していて、気の毒に思ったのか母が、そうね…と同意した。


私はこの刺々しい家の雰囲気を感じたくなくて、いつも父がいない時を見計らって来ていた。

祖父の頑な態度を見るのも嫌だったし、母が済まなさそうにするのを見るのも辛かったから。


「そろそろ時間だから行ってくるよ。今日はゆっくり出来るのか?」


壁の時計を見た父が振り返る。


「うん、今日休みなの」


「そうか。じゃあ、ごゆっくり」


自分の実家なのにごゆっくりと言われると変な気分だ。
逆に落ち着かないなと思ったけれど、愛犬達と遊んでいる間に小一時間が過ぎていた。


父が仕事へ行った後、母もパートへと出て行く。

それを見送ると祖父と二人だけになり、家の中がシーンとしたように感じた。