私が彼に質問が出来たのは、自分の部屋に招き入れて夕食のグラタンを食べ終えてからだ。
「今朝、主任達が話してたんだけど、航さんは老健の内科医をやめるの?」
「やめる」を「辞める」と頭の中で変換しないで聞いた。
グラスに残っているノンアルコールのカクテルを飲もうとしていた彼は目を向け、唇からグラスを離して「え…」と囁く。
「国村主任の話では、来年度から内科医が替わるようなことを院長先生に言われたって聞いて。
青木さんは法人を辞めるという噂もあるって言うし事実なのかな…と思って」
自分なりに落ち着いて話せたと思いホッとした。これで、彼が噂はウソだと言ってくれたなら更にホッとできる。
だけど__
「…なんだ、もう知られたのか」
あっさりと認める彼の声に愕然とする。
でも、私がそれ程驚いているとは思ってもない彼は、淡々と真相を明かしてきた。
「実は去年くらいから親父の体調が思わしくなくて。実家に戻って家業を継がないかと言われ続けてきたんだけど……」
「今朝、主任達が話してたんだけど、航さんは老健の内科医をやめるの?」
「やめる」を「辞める」と頭の中で変換しないで聞いた。
グラスに残っているノンアルコールのカクテルを飲もうとしていた彼は目を向け、唇からグラスを離して「え…」と囁く。
「国村主任の話では、来年度から内科医が替わるようなことを院長先生に言われたって聞いて。
青木さんは法人を辞めるという噂もあるって言うし事実なのかな…と思って」
自分なりに落ち着いて話せたと思いホッとした。これで、彼が噂はウソだと言ってくれたなら更にホッとできる。
だけど__
「…なんだ、もう知られたのか」
あっさりと認める彼の声に愕然とする。
でも、私がそれ程驚いているとは思ってもない彼は、淡々と真相を明かしてきた。
「実は去年くらいから親父の体調が思わしくなくて。実家に戻って家業を継がないかと言われ続けてきたんだけど……」

