『お疲れ様です。仕事終わりました』


一瞬その続きをどう打とうかと悩んだ。
じっとディスプレーを見たまま唇を噛んでいたが。


『お疲れ。こっちも既に終わってるよ』


駐車場で会おう、と戻ってくる文字にキュン…と胸が鳴り、『はい』と二つ返事を送り返す。

彼と会ったら落ち着いて今朝聞いた話が本当かどうかを問えるだろうか。
もしも、噂が本当だと言われたら、私はどうしてなの?!と彼を問い質してしまいそうだけれど……。



(なるべく軽い気持ちで聞こう。そうしないと怒ってしまうかもしれない)


彼については心が狭くなるな…と感じながら着替えをした。
簡単にメイクをやり直して駐車場へ行くと、ドクターは車のエンジンをかけて待っていた。


コンコン…と助手席のウインドウをノックする。
彼は電話中で、左手を軽く挙げると手招くように指先を上下させた。


ドアノブに指を引っ掛けて開くと同時にドクターの声で、それじゃあ今度…と言うのが聞こえた。
誰と話していたのかを聞かれたくなくて、慌てて切ったようにも受け取れてしまった。