昼食休憩の時間帯、ドクターは社員食堂には来なかった。
ガックリと項垂れながらラーメンを食べているところへ一咲が来て、私は朝聞いた話を耳にしたことがある?と訊ねた。


「ああ、センセが辞めるかもって話?それなら大分前に聞いたことがあるよ。まだ凛ちゃんが彼と付き合う前で、そのまま立ち消えになったから忘れてた」


彼女は今日もガッツリとした昼食だ。
トレイの上に乗ったトンカツの皿を見つめながら、そう…と小さく返事をした。


「何?今頃また言われてるの?」


私に視線を向けつつも一咲の口はガリッと音を立ててトンカツを齧る。


「うん、今朝ちょっと医務室で話題に上がってて。でもいいよ、彼に問えばいいことだし」


ズルル…とラーメンを啜り、モグッと噛んで飲み込む。


「そうだよ。その方が早い」


変な噂なんて信じない方がいいと言う一咲の言葉に、不安を抱きながらもうん…と小さく声を出した。


モヤモヤとした気持ちを抱え込んだまま午後の業務を終えた後、私は更衣室で着替える前に彼にメッセージを打った。