ロング・バケーション

彼と一緒に夕暮れの街をデートして歩いた。
行き交う女性達が振り向いてしまうくらい、ドクターはイケメンで素敵な男性。

脇に立つ私はそんな人達から見ればどういう風に映るのか。それを思うと肩身が狭いな…と感じる。


「明日は用事があるから会えないんだ」


夕食の席に着くと、彼は一番にそう言った。


「それに今夜は一緒には過ごせない」


ドクッ…と嫌な胸の音を聞く。


「そうなんですか…」


平然とじゃないけれど自然な感じで受け止めた様に返事をする。私よりも彼の方が凄く残念そうに、うん…と呟いた。


「凛と居たいんだけど食べたら部屋まで送るから。月曜日は勤務だろ?」


「はい、来週は火曜と水曜日が公休日です」


「また平日だけか」


「今月の土日は休み希望を入れてなかったからですね」


まさか、こんな風に急に彼氏が出来るとは思わなかった。
来月は土曜か日曜日を二回と、バレンタインデーの日は休日か早出勤務にして欲しいとカレンダーには書き込んだ。