ロング・バケーション

「む…無理っ…！」


バッと勢いを付けてから離れる。

彼の腕は私を捕まえ損ね、こっちはベッドの足元へと移動した。



「ごめんなさい！仕事を休むとかできない！」


恋は楽しいが仕事は大事。
彼と業務のどちらかを選択する訳じゃないが＿＿。


「ごめんなさい。帰ります」


ベッドの足元からスルッと降りた。
彼に脱がされた下着を身に付け、いそいそと帰り支度を始める。


「凛…」


寂しそうに呼ぶ彼にきゅん…とする。

それでも振り向かずに衣類を重ねだす私に負け、彼が仕様がなく、送る…と言いだした。


「大丈夫ですよ、タクシーで」


ホッとする様に振り向けば、彼はそれを待っていたかの様に抱き締めてきた。


「駄目だ。送る」


何がなんでも送ると言い出しそうな雰囲気に、少し呆れつつもお願いします…と頼んだ。


その後、車内でも彼はいつもとは変わらなかった。


だから、翌日聞かされた話に、すごく驚いてしまった＿＿＿。