ロング・バケーション

二十分程も歩けば着いてしまうマンションに向かって歩を進め、途中のコンビニに寄って、たくあんや食後のスイーツをじっくり選んでから店を出た。


マンションの近くまで歩き、私は遠目に見える実家のあるタワーマンションを見上げる。


今更ながら昨夜のことは半分は祖父のせいだと思う。
あのお見合いの釣書さえ預からなければ良かったんだ…と思えて、ギリッと奥歯を噛みしめた。



「本当にもう、おじいちゃんはいつも私の邪魔をしようとして」


正看護師になれずに学校を卒業したのも祖父のせいだと内心怒りながら正面玄関を抜け、上向きの矢印ボタンを押してエレベーターが来るのを待った。


上の階から下りてきたエレベーターが開き、私は誰もいないことを確認してから乗り込んだ。

自分の部屋がある五階部分に到着してドアが開いた途端、目の前に立っている人がいたものだから、ギャッ!と驚きの声を上げた。



「ギャッというのはあんまりだな」


なかなか聞けない声だと話す人を見て、私は声も出せずに目を点にする。

そのうち笑いを噛んでいた人が目を向けて、お帰り…と声をかけてきた。