ロング・バケーション

だけど、それも仕様がないね…と言いだすものだから、こっちはどうして？と問い直す。


「だってさ、私前にちらっと聞いたことがあるんだよ。青木さんは、城島センセに告ってフラれたって噂」


「えっ？」


「凛ちゃん知らなかったの？まあ、あの人プライド高そうだから周りはかなり気遣って噂も拡がらなかったしね、ムリもないか」


一咲はそう言うと、それでじゃない？と片目の瞼をパチッと閉じる。


「城島センセが凛ちゃんに本気宣言したこと、誰かから聞いたのかもよ」


ドクッと胸が弾んで握りかけたフォークを落としそうになる。
こぼれ落ちそうになったものを何とか受け止め、一咲の方を振り向いた。


「ひょっとして、朝からのパシリってそのせい？」


私をこき使うのはいつものことだけど、それでも今日は酷かった…と思い出し、それでか…と納得がいった。


「歯痒いんじゃない？自分には靡かなかった人が凛ちゃんを選んで」


私はそれで当然だと思うけど…と言う一咲の言葉は、私にとって有難いけど有難くない様な気がする。