『凛ちゃ〜〜ん!』


ウルウル目の子犬のスタンプと共に一咲が『勿体ない!』と断言する。


『何やってんの!センセの部屋まで行っておきながら』


彼に送られた後、部屋の中で一人ポツンといるのが溜まらなくて、彼女にラインを送ったのだ。


『本当。何してるんだろうね』


我ながらあんなキスまでしておきながら…と呆れる。
彼の方は、きっと私がキスに応えたから震えなければ続きをしようと思っていた筈なのに。


『あの城島航を我慢させるなんて、凛ちゃんってば何たる強者!』


さすが、という一咲の文字を見て、強者と言うよりかは弱者だな…と感じた。

この年で男性経験の無いのが呪わしい。
今度こそドクターに嫌われたかな、と帰りの車内で全くものも言わなかった彼のことを考えていた。


『センセ、また凛ちゃんに対して本気度が上がったよね』


『え?』


一咲の文字に驚いた。


『センセにしてみたら凛ちゃんは落とせない城みたいに感じたと思うよ。そういうのって、きっと彼みたいなモテ男君にはツボにハマるんじゃないかな』