体育館で全校生徒は校長先生の長々とした
話を聞いている。

校長が話し終わりステージから降りると
体育館内に拍手が湧き起こっていた。

私は、朝6時起きでバスで30分掛けて
学校に来たので、朝早起きし過ぎた成か
異常に眠く、校長の話など聞いてはいなかった。


校長先生の挨拶が終わった後、新入生は各自教室に入る。


「では、主席番号順で自己紹介をしてもらいましょう!」


女の担任の先生が教卓の前に立って言っていた。


主席番号順に一人一人教卓の前で自己紹介をする。

「小野で〜す、部活はサッカー部ですよろしくお願いします」

「片桐です、寝る事や読書が好きです。よろしくお願いします」



私は、窓側の真ん中辺の席で肩肘をつき
周囲の様子や自己紹介の内容を聞いたり見たりしていた。


〝やっぱ、部活とか好きな事とか言わなきゃ行けないのか…自己紹介面倒くさいなぁ〜〟と、思っていた。

すると、いつの間にか自分の出番になっていた。


教卓の前に立つドキドキと不安でいっぱいの気持ちで身体が小刻みに震えていた。
両手を胸の辺りで軽くギュッと握り

「あ、、あいっ藍川 日奈です…!」

と、私の第一声は震え混じりで声が裏返ってしまった。

皆の反応はクスクスと微かに笑う声が聞こえた。

周囲の目を気にしてか赤面せざるを得なくて、私の自己紹介は名前だけで終わってしまった。
早足で教卓を降り、自分の席に座る。

自己紹介の時間が終わった後の休み時間

人見知り過ぎて俯向いている私に
目の前の席の子が振り返ってニコッと
微笑んでくれた。

「藍川さん…だっけ?」

「は、はい…」

「私、吉川 愛梨。よろしくね。」

見た目が清楚で、目がお人形さんみたいに
パッチリしていて、髪がツインテールで
ふわふわしている女の子。


「よ、よろしく…愛梨ちゃん。」

暗くて地味で眼鏡かけている私なんかがこんな可愛い子と合う訳ないと思った。


入学式のこの日は2時間で学校が終った。



鞄に新しい教科書を詰めていると
愛梨が振り返った。

「一緒に帰ろー?」

アイドル並の可愛さに私のハートはやられてしまった。

「…うん!」