「き~りとっ」



「ん~…」



窓の外、

陰に隠れて男と一緒にいる楓さんを見ていると

花菜(ハナ)が声をかけてきた



「まーた楓さんのこと見てんの」


「うん…」


「やめなって~自分が傷付くだけだよ」



そんなこと自分が一番よく分かってる。

けど目がはなせないんだ



楓さんはお姫様なのに

俺だけの…お姫様なのに……そんなことしちゃうんだ…



「あー、チューしてる」



「うるさいなぁ

黙って見てないんだったらどっか行ってよ」



「なに、桐斗

今日すごい機嫌悪いじゃん


いつもなら
<うわあああああ俺の楓さんがああああああ!!!!>
とか言って叫んで

うるさいのはそっちなのにさ」



そうだよ、今日の俺はすこぶる機嫌が悪いんだよ
あの笹井とかいう雄のせいでさ


どうせ、俺と同じで楓さんに相手にされないくせに。