「なにかあったら、俺に相談して?そうしたら気が楽になると思うからさ。」
「ありがとうございます…。」
「あ、2人だけの時は、先輩呼びしなくてもいいよ?あと、タメ語も。」
「わ、分かった…怜くん……。」
怜くんって、不思議な人だな。こんな地味な私のことを気にしてくれてる。こんなの、女子にバレたら…。
「……。」


次の日

ガラガラと教室のドアが開いた音がする。そこには琴ちゃんが。
「……彩花、ちょっと来いよ。」
「え……?」
嘘、ずっと「さん」付けか、一応優しめに呼び捨てだったのに。今日の呼び捨ては、なにか悪い予感がする。
私は呼ばれた通りトイレに連れてこられた。
「何?こんな所に呼び出して……。」
「お前、昨日教室で怜先輩と何話してた?」
「っ!!」
嘘…、まさか、覗いてた!?こんなことになるなら先輩に話さなければよかった…!
「お前はどうせ怜先輩に嫌われるのよ!私が彼女になるんだから!」
「は…?」
え、何?『私が彼女になる』って……?
まさか、恋愛妄想してんの…!?うわっ……。そのまま、琴ちゃんは話を続けた。
「次、あんな事したら彩花のこと殺すからね!」
「分かりましたー。…ん?」
え、今……、こ、殺すって言った…!?
「こ、殺すのは駄目!!」
「さっき分かりましたって言ったの誰?」
「っ……。」
答えられない、ちゃんと話を聞いてなくて適当に答えた、でも、それがいけなかったんだ。私の馬鹿!
「まぁ、言ったもんは戻せないしね~。」
最低、こんな人だったなんて!!琴ちゃんがこんな人なんて!!!
「……。」
あの時、誰かが除いていたのも知らず、この日、痣だらけで家に帰った。琴ちゃんと、そのグループにリンチされたんだ。

帰ると運が良くお母さんは仕事で居なかった。私一人だけ。
「……。」
なんで、こうなるの?私と先輩に、関係なんてないのに。どうして─── 。
その時、携帯が鳴った。ん?と私は携帯に手を取ると。
「怜……先輩…。」
そこには、怜先輩の名前が。
「はい、もしもし……。」
「あ、彩花ちゃん?」
「はい……。」
私は、全て、先輩に話したかった。けど、出来ない。また、先輩に迷惑をかけちゃうから…。
「あのさ、俺見ちゃったんだ…。彩花ちゃんが女の子達にリンチされてる所……。」
「……っ!!!!」
言葉が出なくなった。嘘……。先輩に見られてた…!?どうしよう……。みんなにバレたら…。
「……学校には言わないよ…。ただ、今から彩花ちゃんの所に行ってもいい?」
「え……。」
学校に言わないでくれるのは嬉しかった。でも、今から私の家に来るの……?
「話してもらいたいんだ、今日のこと、昨日のこと、全てを。」
「はい…。」
先輩は、こんなに私を見てくれてたの?凄く、ありがたく思えた。でも、こう思うのは今だけ……。


怜先輩は事故に遭った。

そう、私の家の目の前で。インターホン鳴って、私は出た。その時は、笑顔でいてくれた。そしたら、居眠り運転している男の人が私の家に……ぶつかってきた。
怜先輩は、私を庇って……。

「先輩……。」
もう、耐えられなかった。私がいると、誰かが不幸になる。そう思いこんでた。

「先輩!?怜先輩!!!!」
駆け寄ってきたかと思うと、やはり琴ちゃん達。琴ちゃんは『彼女ですアピール』してるし…。他の人は見守り隊みたいな感じ。
「今、気絶してるから……。」
琴ちゃんが睨んできた。そして
「彩花のせいだ!彩花が怜先輩を事故にあわせたんだ!」
「…!?」
なんでそうなるの……。怜先輩は、突っ込んできた車から、私を庇ってけれて…。
そのまま、琴ちゃんは話しを続ける。
「どうせ、私が怜先輩の彼女だから妬んで事故に見せかけた殺人でしょ!?怜先輩になんてことするのよ!!この『死神』!!!」
「死神……か…。」
ボソリと言った。確かに、私は死神と呼ばれていた。私と仲がいい人はみんな、悪い事が起きるから。だから、人を避けてきた。また、悪い事がおきなおように。