「ねぇねぇ、久莉乃彩花さん、友達になりましょう?」
「ふぇ?」
え、私と友達になりたいとか。何言っちゃってんの?
「あ、私は内藤 琴って言うの。宜しくね。」
そうやって内藤琴さんはキラキラした顔で私に笑顔を見せる。眩しい、眩し過ぎるんですけど…。
「……久莉乃彩花です…よろしくお願いします…。」
私は馬鹿だ。こんな綺麗でお嬢様みたいな人と仲良くなれるわけがない。
「うん、宜しくね。」
「はい……。」
この日、初めての友達ができた。

「今日の午後、平気?部活見学行かない?」
「え……」
いや、いきなり言われても困るんですけど…。
「開いてますか……?」
「……」
あの、威圧凄いんですけど…。どうしよう。今日は、病院なのに……。
「……ごめん、今日病院で…」
「あ……そうなんだ、ごめんね?」
そう言って琴さんは他の人と部活見学しに行った。
「……めんどくさい。」
1人でいる時の教室は、小声でも大きく聞こえる。この言葉も誰かにバレていなければいいけど…。
「はぁ……」
友達なんていらない。そう思い込むから出来ないのかもしれない。私といると不幸になる。
「彩花さん!」
「ふぇ?」
振り向くと、ドアの方に玲先輩がいた。先輩はにこにことして私しかいない教室に入ってくる。
「先輩、どうしてここに?」
私はたずねる。だって、普通そうじゃない?今日初めて会ったのに、急に来るとか。
「帰っちゃうの?」
玲先輩は先輩と思えないほど目をうるうるさせて言った。だって、私病院が……。
「私…今日病院……。」
小声で言った。普通に言ったら教室に響きわたる。だから、小声で言うしかない。
「そっか…残念。」
「え?」
え、今……『残念』って……言った?