青い空を背にして、真っ白くそびえる城は空想していたよりはるかに大きかった。
礼拝堂よりはるかに高い天井、豪華絢爛に飾り立てられた沢山の部屋。
そしてそこには、美しく着飾り洗練された人々がいた。



控えの間に通されると、私の為に白絹のドレスと金糸で織られた小さな靴が用意されていた。

ドレスには裏に薄紅色があてられていて身を翻すと鮮やかな色が足元を彩る。

そして母譲りだという亜麻色の髪は、馬毛の櫛で艶が出るまでていねいにくしけずられた。



鏡に映った自分の姿を見て、私はため息をついた。



幼い頃ににミアンが聞かせてくれていた御伽噺の姫君がここにいる。


白いお城に住み、白いドレスを着て、白馬に乗った王子様が求婚にいらっしゃる。

薄暗い修道院の中でそう空想の世界で遊ぶことが私に許された唯一の自由だった。




ようやく、私はそんな姫君になれるのだわ