「ガチャ」
社会人の佐藤春。
独身。付き合った経験も高校時代の一回きりだ。
いつも通り終電まで残業し家に帰った。
お酒を飲んでコンビ弁当を食べる。
これが彼女の日課だ。
特に今日は金曜日だから、夜中まで飲んでいた。

朝。
シャワーを浴び郵便ポストをのぞいた。
何枚かのチラシと新聞、いつもそれだけだった。
だけど今日はもう一個「手紙」が入っていた。
今時インターネットの世代に手紙なんて珍しかった。



「佐藤春様へ
私のことを覚えていらっしゃいますか?
高校生の時付きあわせていただいた小口健です。」




あまりにも手紙の文章が私の知っている彼とはかけ離れていて違和感を感じた。
彼はクラスの人気者で明るくふざけていた人だ。


「突然手紙を出してしまい申し訳ありません。
高校時代の時に貸していた漫画を返したもらいたく出させていただきました。
郵送で送ってはもらえませんか?
返事お待ちしております。
小栗健 」