縁を…切られる…?


どうして今、内心ひやってしたんだろう。

別に惚れてなんかないのに…なに、ヒヤヒヤしてるんだろう、自分…

ば、ばかみたい。


「ま、そういうことだから!」


ぱあっとまた満面の笑みに戻る岬は、やっぱり怖い。


「あ、ともう一つ…いい?」

「おっ、かわいい凛ちゃんの頼み事ならなんでも〜!」

「いや…その…光…の事は…何て呼んでるんですか?」


そう聞いた途端、すっと岬の顔から笑顔が消えた。

やばい…やっぱり聞かないほうがよかったのかな…


「あいつさ…」




ー名前ないから





音が消えた。



まるで炭酸ガスの蓋を開けて、シュワシュワと空気へと逃げるガスを止められないみたいに、どうすることもできない不安だけが広がっていった。



「名前でなんか、呼んでないよ。」



岬はふっと思い出したように目を細めた、




「あいつには、名前の事、聞かないほうがいいよ。」




………。





「凛ちゃんがあんまりしつこいと…本当に殺されちゃうかもよ。」