大急ぎで駆けていったわたしが愚かだった。


声に出したのが間違いだった。


あの時の判断は完全に鈍っていた。



だけど、過去は取り返せない。



「何してる」



凍りつくような、低い、淡々とした声が背後から突き刺さった。



心臓が加速する。





その低い、掠れた声を、


わたしは十分すぎるほどよく知っている。


聞き間違えるわけがない。




わたしはゆっくりと、振り向いた。




ーきっと人生は運。


何かの拍子で全てが崩れ落ちる。


崩れ落ちた先に光があるのか闇が続くのか。


それもまた、きっと運だろう。



だけどきっと、


わたしが名無しのdevilに出会ったのは、


最悪な、運命だ。ー