っ〜!?!?!?


背筋にツーっと冷たい汗がつたる。

わたし…何に巻き込まれちゃったの…?!?

それに…他の店員さんは…?

って…そうか、あの現場にいたのはシフトの彼とわたし…そして、あの香水の持ち主のみ…


やっぱりわたしの運の悪さには落胆しそうになる。


「大丈夫だよ、怖がらないでね。俺たち、凛ちゃんのこと傷つけたりしないから。」


絶対にやばい。

体がこわばるのがわかる。

中島さんのチョコレート色の瞳がわたしを覗き込んでいる。

普段だったら安心するその優しい瞳が、今はなぜだかウソを塗りたくった瞳に見える。

優等生でかっこよくて、大学でも文武両道頑張ってた彼が…?

一年間も一緒に働いてた憧れの先輩の彼が…?


違う。いつもの中島さんじゃない。


「っ…あの、わたし…どうなるんですか?」


帰りたい…

帰りたい?


月夜に光る白いバラ。

永遠と咲き続けるそれ。


「うん?まあ、運が悪いのかな。」


中島さんはけろっとしたように口角を上げた。


「運…。」


そう。わたしは、きっと運が悪い。


「あいつに関わっちゃ、絶対にダメだったのになあ。」


あいつ…?


「もう、後の祭りだね。」


中島さんはそう言って、ポンとわたしの頭を撫でると、


「あいつがくるまで、ここで待っててね。」


と、それだけ言い残して部屋を出て行った。