「俺のことそんな風にバカみてえに信じてるやつはお前くらいだよ。」
「っ…。」
「…本当、バカじゃねえの。」
すっ、と冷たい指先が頬に触れてビクッとする。
熱い頬にその冷たさが心地よかった。
そう、それはまるで真夏のバニラのよう。
「そんなにまでなって俺のこと庇うとか…お前、意味わかんねえ。同調すればいいだろ、俺は最低だって。」
「っ、そんなこと…」
できるわけないじゃん。
世界で一番好きな人なんだよ。
大好きで大好きでたまらないんだよ…?
「…呆れただろ。俺、所詮そーゆーやつだから。傷ついた女をもっと傷つけるだけの不幸商売ー」
パン…!!
気づいたら手が勝手に動いていた。
鈍い痛みを手のひらに感じて、それと同時に驚いたような光の瞳と視線が交差した。
「っ、二度とそんなこと言わないで!」
「…っいてえなあ。」
顔を歪める光を見て、私は一気に我に返った。
「ご、ごめんなさい!痛くない…?って、痛いよね。ごめん!絆創膏…」
「ふっ。」
「…え?」
「フッ…ハハッ。」
へ…?
「お前、やっぱおもしれえわ。」



