「七瀬凛です。よろしくお願いします」


思わず震えてしまいそうになる声を抑えながら、なるべく笑顔を崩さないように自分の名をいう。だけど、心の奥では自分のその小さな姿をあざ笑いそうになってしまった。


また、同じことの繰り返し…

って。


「七瀬さんは事情があって今学期転校してきました。えーと、みんな仲良くするんだぞ!」


担任の先生のハキハキした声により、拍手が上がる。どきどきどき、心臓は今日も活動をやめないみたい。


「お前の席は…そうだな、右側の後ろから二番目…あー、藤堂!お前教科書見せてやれ。」

「へーい。」

なんとも気だるげな声がして、その藤堂という人の隣にいそいそと座る。チラチラ感じる視線が少しだけ怖い。

横を盗み見れば、派手な金髪の奥に見える藍色の瞳に思わずどきっとする。


「…あんたも校則違反とかいうわけ?」


突如そう聞かれ、は?と思って顔を思わずしかめてしまう。

やばい…早速キャラがぶれそうだ…

なにこの子。


「別に。何も言ってないよ?」


引きつりそうになる笑顔をぐっとこらえて、真正面から隣の女子生徒を物色する。

都内ではそこそこレベルの高いこの私立高校。なんの手を使ったのかわからないけれど、光は私をこの高校へ入れさせてくれた。


そして…今目の前にいるこの…ヤンキーぽい女の人…


結構みんなの中で浮いている。