案の定、俺があいつのばかみてえに柔らかい髪に触れた途端、体が小刻みに震え始めた。
本当に…小さかった。
こんなにもちっちぇえ体で震えられたら、俺にだって罪悪感湧くだろーが。
俺を見る目は恐怖に変わっていて、汗がこいつの額を流れるのに、彼女の乾ききった瞳だけは一向にうるまない。
それが…どうしようもなく、切なかった。
俺にもその気持ちがわかったから…、だから…っ
俺がこいつみたいだった時にしてほしかったことを、無意識のうちにしてたんだ。
抱きしめた体は、想像以上に華奢だった。
置いていった、捨てただのと連呼するこいつは、きっと家のことを言っているんだろう。
俺の胸さえもが苦しくなった。
ああー、俺、昔からこういう奴に弱えのかもしんねえな。



