『…泊ってくの?』
『ああ、さっきここに来るまでに、明日一旦自宅に戻ってから、直接取引先に直行する手筈は整えてきた』
『…そんなことできるの?』
『できるもなにも、まさかこのまま柚希を抱かずに帰れなんて、言わないよな?』

そういうと、また一歩近づき、そっと私の頬に触れる。

『…嫌か?』

最後は、必ず私の意思を尊重してくる隆弘。

今日は、いつも以上に、自分を求める隆弘の熱いまなざしに、抗うことなどできそうになかった。

いや、口には出せないけれど、むしろ自分だって、それを望んでいる。

確かに、明日が仕事だって、関係ない。

今夜は、隆弘の腕の中で、たっぷり愛されたいと、はしたなくも思ってしまう。

黙ったまま首を振り、自分の意思表示を示すと、隆弘からホッとした気配がした。

早速とばかりに、頬から顎をすくうように持ち上げると、近づいてくる唇をやんわり両手で押しのける。

『おい…何する?』

眉間に皺を寄せ抗議する隆弘。