「今までいっぱい酷いことしてごめんなさい」


会話が弾んだかと思った瞬間、急に真剣な目をして頭を下げてきた。



後ろの二人も慌てて同じようにする。



「やめてよ、もういいって」



そう言って、手を振ると、3人は顔を見合わせて渋い顔をした。



「許してくれとは言わない。ほんとにごめんなさい。これ…」



もう一度謝って、私のキャンバスの前から体をどけた。



そこには…



「さっき先生に連れていかれてるの見えて、ついカッとなって…。
ほんとにごめん!!」



周りの音も何もかも聞こえなくなった。



しばらくして、やっと声を絞り出すことができた。



「…す、すごくいい!これ、私が考えていたのよりも絶対いい!ありがとう!感謝しても仕切れないよ!」



息切れするくらいに勢いよく感想を述べてみんなの手を握ってブンブンと振った。



3人はポカーンと口を開けたまま、私を見つめている。



キャンバスの中はカラフルに煌めいていた。



何色もの色がそれぞれを主張し合うように。



イメージが浮かんだ。



「これ全っ然責任感じなくていいから!
むしろ私感謝してるから!
ちょっと絵の具が乾いちゃうから、私描くね!」



「は、はあ…。あの…じゃあ失礼します」



「うん、バイバイ!」



筆を洗いながら、返事をすると、すぐにドアが閉まる音が聞こえた。