しばらく聞いてなかったその声、
とっさに顔を上げると、予想通りの人物が私の後ろに立っていた。
「あすか…」
「は、ちょっと何このイケメン」
「うちの学校じゃないよね?」
平田ガールズの後ろの二人は飛鳥に見惚れてコソコソ話しているのがわかる。
それでも中央に立つ一人は飛鳥でさえも睨む。
気にせず飛鳥は続けた。
「顔も整ってて、誰からも愛されて、天才だと言われてて、何もかも持っているのに、満たされない顔してさ」
直接そこまで言われると心が折れそうになる。
自分でもわかっていたことなんだけど。
「それでもさ、本当は天才なんかじゃないんだよ。小さなことに傷ついて、苦しんでもがいてる。
こいつは特別なんかじゃない、お前と同じ人間だ」
あの日の声とは打って変わる、優しげな声に急に涙がこぼれた。
飛鳥の表情を伺うと、吹っ切れたような顔をして笑っていた。
「…っとっくにわかってんだよ!
私らが悪いってことくらい!
こんなのただの嫉妬だってことも!
だけどこうやって吐き出していないといつか劣等感に埋め尽くされてしまいそうで、もっと嫌な人間になってしまいそうで!
でも、そうやって攻撃しても、
こいつは何ともないみたいな顔して、
黒いとこなんて一つも見せないで、
ほんとにむかつく!」
目の前で泣きそうな顔をして怒鳴り続けるその子を見て私はなぜかほっとした。
初めて本音が聞けたから。
それなら私も本音を返さなきゃ。
「わかるよ。
私だって嫉妬ばかりしてる。
あなたたちは、私のこと完璧だとか言うけど、私勉強も運動もできないし、絵だって最近上手くいかないし。
出来ないことばかりで自分が嫌になる。
でも…誰だってそうなんじゃないかな。
嫉妬しない人間なんてどこにもいないよきっと。
だからこんな風に回りくどいことしないで、
文句があるなら私に直接言ってほしい」
リーダー格だったその子はふっと息を吐いて、泣き笑いのような表情に変わった。
「やっぱ敵わないな」
「あっ、言っとくけど私先生にこっぴどく振られたからね?」
「は、マジで?」
「まじ」
とっさに顔を上げると、予想通りの人物が私の後ろに立っていた。
「あすか…」
「は、ちょっと何このイケメン」
「うちの学校じゃないよね?」
平田ガールズの後ろの二人は飛鳥に見惚れてコソコソ話しているのがわかる。
それでも中央に立つ一人は飛鳥でさえも睨む。
気にせず飛鳥は続けた。
「顔も整ってて、誰からも愛されて、天才だと言われてて、何もかも持っているのに、満たされない顔してさ」
直接そこまで言われると心が折れそうになる。
自分でもわかっていたことなんだけど。
「それでもさ、本当は天才なんかじゃないんだよ。小さなことに傷ついて、苦しんでもがいてる。
こいつは特別なんかじゃない、お前と同じ人間だ」
あの日の声とは打って変わる、優しげな声に急に涙がこぼれた。
飛鳥の表情を伺うと、吹っ切れたような顔をして笑っていた。
「…っとっくにわかってんだよ!
私らが悪いってことくらい!
こんなのただの嫉妬だってことも!
だけどこうやって吐き出していないといつか劣等感に埋め尽くされてしまいそうで、もっと嫌な人間になってしまいそうで!
でも、そうやって攻撃しても、
こいつは何ともないみたいな顔して、
黒いとこなんて一つも見せないで、
ほんとにむかつく!」
目の前で泣きそうな顔をして怒鳴り続けるその子を見て私はなぜかほっとした。
初めて本音が聞けたから。
それなら私も本音を返さなきゃ。
「わかるよ。
私だって嫉妬ばかりしてる。
あなたたちは、私のこと完璧だとか言うけど、私勉強も運動もできないし、絵だって最近上手くいかないし。
出来ないことばかりで自分が嫌になる。
でも…誰だってそうなんじゃないかな。
嫉妬しない人間なんてどこにもいないよきっと。
だからこんな風に回りくどいことしないで、
文句があるなら私に直接言ってほしい」
リーダー格だったその子はふっと息を吐いて、泣き笑いのような表情に変わった。
「やっぱ敵わないな」
「あっ、言っとくけど私先生にこっぴどく振られたからね?」
「は、マジで?」
「まじ」



