「夏実っ!」



「え、あれ!?もう放課後!?いつの間に!」



「あれからあんたしばらく意識なかったもん」



辺りを見回すと、教室はもうガランとしていて、目の前には瑠衣が1人で立っていた。



「蒼と優菜もさっきまでいたけど、部活に行った。心配してたよ」



「あ、うん。ごめん」



「夏実、嘘はつかない方がいいと思うから正直に言うけど、あんたのさっきの謎な告白、めちゃくちゃ広まってる」



「うん、そうだよね」



「あれ、本気だったの?」



「うん、私的には」



「どうするの?」



「どうした方がいいと思う?」



「そんなの知らないよ。夏実の問題なんだから夏実が決めな」



「困るかな。先生は」



「好きって言われて嫌な人なんていないと思うけど。それに正直に言ったらまさかの両思いだったってこともあるかもじゃん」



「…じゃあ私もし、今日会えたらちゃんと伝える」



「おっけ、頑張りな!
夏実、あんたは自分のことあんまり喋んないよね。
別に友達だから何でもかんでも聞き出そうなんて思ってないけどさ、あんたが1人で辛い思いしてるのは嫌なの。
だからもし頼りたくなったらすぐ言うんだよ。
うちらはみんなあんたの味方だから」



ここで、瑠衣に泣きつくことはできる。



噂を消して欲しいって言ったら、瑠衣はまた自分が嫌われるように仕向けて噂を消すだろう。



誰よりも友達思いな子だから。



飛鳥はそのままでもいいって言ってくれたけど、やっぱりほんの少しでも強くなりたいから。



自分の力でぶつかってみよう。