「おい、池上走んな!ばか!」



事情をもちろん知っている先生は慌てた声をあげる。



聞こえているんだろうけど、知らんぷりしてそのまま京子ちゃんはかけていった。



「ったく、あいつはほんと元気だよなあ」



京子ちゃんの姿が見えなくなってから、先生は大きなため息をついた。



「ほら、お前もさっさと帰れ。
玄関までこの俺が送っていってあげるから」



「いらないし。さよーなら」



「お前何ってやつだ。俺のせっかくの好意を」



「面倒くさい」



「まって、俺ほんとに傷つくぞ。お前そんなに毒舌だったっけ?」



いらないって言ったのに、先生は私の後ろをついてくる。