これは意味深のものだ。

意味は片方を預けるから迎えに来て…だろうな。



「…全く」



ーヒュー



冷たい風が吹く。

桜のシーズンを過ぎたにも関わらず咲いている家の大樹が揺れているのか良い音がする。



「冷たっ」

「寒っ」



「え、何風?」



「…冬みたい」



「…」



永久咲雪夜。



「…宜しく伝えていたはずだが、このザマか」



ー「え?」

「っ!」



一応、友達の話を聞いた後、

和夜にはその友達に和夜を宜しくと伝えるよう言い、言ったことも連絡を受けている。



…和夜を束縛するつもりはない。

だがそれでも、捨て身や囮にはならないで欲しいとは思う。



そんなことされて、もし何かあったら…。



ー「っ!?」



その相手、再起不能にしたくなるから。



「まぁ良い。居場所が分からない…だったな」



「え、はい」



携帯を出し、和夜のGPSを見る。



…ここからそう遠くないな。



GPSと聞いたら人聞きの悪い感じがするかも知れないが、

四六時中見てる訳でも、まして監視してるわけでもない。



こういう時が無いと言い切れないから、家は全員付けている。

勿論私もだ。



「あ、あの…」



「あぁ」



どうするか。

はっきり言って邪魔なんだよな。



…まぁ、家で待たせるわけにも行かないし。



「場所が分かったよ。付いて来れるなら、好きにして」



そう言って返事を待たずに車庫に向かう。



バイクを引っ張って来て、門まで戻って来た。



「え…バイク?」



「場所、もう分かったのですか!?」



「あぁ」



短くそう言って、エンジンを掛けそのまま続く坂を走り抜けた。



置いて行かれた彼らが、ハッとして動き出す音がかろうじて聞こえた。



一応兄2人に連絡は入れておいて、住宅地を駆け道路を進む。



彼らは着いてきておらず、そのまま目的地へとついたのだった。