「勇気もお兄ちゃんだね。すごいね!」
それでも、勇気はお母さんをとられた感じで、寂しいのか、父親にしがみついたままだった。

 赤ちゃん帰りってやつだろうか?
ひろにぃも苦笑いだった。

 それからしばらくして、病室をでた。
そして、課長が送ってくれるというので、彼の車に乗り込んだ。
「すみません、ありがとうございます。」
何となく助手席に座り、お礼を言う。
 
「いや、どっか寄ってく所あるか?」
「あっ、じゃあスーパー寄ってもらっても良いですか?」

 スーパーで買い物をした後、自宅のアパートまで送ってもらった。

 スーパーの荷物を持って、部屋まで運んでくれた課長にお礼の意味を込めて、夕飯を作ろうと思った。
「課長、良かったら夕飯、食べていきませんか?」
部屋の玄関でそう聞いてみた。
「どこで?」
「家でです。ちゃんと作りますよー。材料も買ったし。」
「お前、吉沢と付き合ってるんじゃねーの?」
 
 ここでも吉沢!

「はー、課長までくだらない噂信じてるんですか?吉沢さんには、一回夕飯を奢って貰っただけです。」
そう言って、取り敢えずスーパーで買ったものを冷蔵庫にしまうべく、部屋の中へ移動した。