そこから、私は一城さんたちのグループにいれてもらうようになった。
クラスの大半は、どうやら二人が世界で活躍するピアニストということはわかってるらしい。
「五月ってさぁ、ピアノうまいんだろ?弾いてみてくれよ」
「それ!すげぇ聴きたい!」
「音楽室行こうぜ!」
本郷くんは相変わらず、騒がしくて目立つ男子のグループにいる。
女の子とはそれなりに仲がいいけど、一城さん以外とはそれなりに距離をとっている気がする。
「ええ。俺、雅とセットじゃねぇとうまくないんだよなぁ」
「あ、俺知ってる!『れんだん』って言うんだろ?」
「あはは、お前、よく知ってるね。馬鹿かと思ってた」
れんだん…?
「なんだよ、『れんだん』って」
「連弾っていうのは、一台のピアノで二人で弾くことだよ。俺と雅は二人でピアノ弾いて、それでまぁ、世界大会とかにも出てんの」
「へえ、よくわかんないけど、一城さんと仲良いんだな!」
「そこかよ」
クラスに響く大きい声で本郷くんたちが笑う。
「馬鹿丸出しだ…あの男子は」
一城さんが私の隣で小さく呟く。
「あはは!雅、ほんとそれ」
その隣で髪を金髪に染めて、あからさまに目立つ子も笑う。
「でも、いいな。雅は…五月くんと仲良くできて」
声を小さくして他の子が言った。
一城さんのグループは私と一城さんを混ぜて6人。
ほとんどが、髪を染めたり、ピアスを開けていたり。
そして、私もその言葉に賛成した。
と同時に、一城さん、本郷くんと下の名前で呼べない私にたいして、呼べるその子がうらやましくなった。
「何で?五月って皆に愛想振りまいてんだから」
「いや、違うよ。やっぱ、幼馴染みとは」
「うんうん!ね」
「そう?かな。長野さんも思うの?」
いきなり、私に質問されてびっくりして肩を震わせる。
「え?私…は、うん!私も思うよ」
「だよね~」
「ふぅん?」
まぁ、どっちでもいいんだけど?みたいな顔で次の移動教室の準備をする。
私も二人の演奏を聴いてみたいな。
