「ねぇ…名前知りたい?」

恐る恐る瑠依に問いかけた。

「君がいいなら。」

瑠依は笑顔で言ってきた。

「うん。いいよ、火海未空っていうの。」

「は…?」

瑠依は驚いたような顔をした。

それから、1…2…3秒。

「あ…いい名前だね。未知な空…か。」

「いきなりどうしたの?」

本当どうしたんだろ。未知な空…。って。

「いや、未空の名前の意味を考えてただけだよ。」

意味…か。

意味なんて、あるのかな?

「もう、戻ろうか。」

瑠依が言った。

ていうか、さっきから暗くないですか?

「瑠依…。」

「なに?」

「暗いんだけど…」

「あぁ、何でもないよ。」

いやいやいや、何でもないって…気になるよ。

その後、私がいくら聞いても、瑠依は答えることはなかった。

「未空…」

「なあに?」

「今日はもう遅いし、家に帰りな。お母さんも心配するからさ、また」

ズキッ…心に穴が空いたような。痛さがした。

「瑠依…また、明日」

「おう。」

手を振って。振り向かないで、家へ帰っていった。