『明日から戦場へ向かってもらうぞ、ピーター。』
「すいません、俺に死ねって言ってるんならやめてください。マジで死にます、死にたくないです。」
ピーターは教官にしがみつきながら全力断ったが、教官はピーターを投げ飛ばした。
『そんな気持ちで大丈夫か?』
「大丈夫だ、問題ない。」
すると教官はピーターを全力で投げ飛ばした。
『ピーターァァァ! お前この2年間何してたんだぁぁぁ!?』
教官はピーターに怒鳴った。
そして、カムイがピーターに
『ピーター、お前は俺より強いんだ。つまり、何度も戦争を経験した俺を越えたんだよ。大丈夫だ、お前なら出来る。』
と、励ましの言葉をかけた。
それを聞いたピーターは自信を取り戻し
「っしゃあぁ! 相手が誰だろうが蹴散らしてやるぜぇ!」
と言った。

――そして、その日からまた2年がたった。

燃えているような赤い雲と空、すぐに火がつき爆発してしまいそうな熱気を閉じ込めるかのような大きなテントに数人の将がいる。
『相手は、あの【ギル王国】だ。気を抜くな!』
【ベル王国】側の大将は<剣王>の異名を持つ、ゼルだ。
「ゼルさんがいれば負けなしだ、問題ねぇ!」
ピーターは自信満々に言った。
『ピーター……流石に今回は勝てるか分からんぞ……』
ゼルは自信なさげに言ったが、ピーターは元気づけるように
「今までそういうの越えてきたじゃねぇか! 大将が弱気になってんじゃねぇよ!」
と言った。
その言葉がゼルに響いたのか、
『そうだな……<剣王>が弱気になってはいかんな……ありがとう、ピーター。』
ゼルは立ち直った。
「それでこそ大将だ!」
ピーターはまさに強者を支える強者だった――。

戦場にて……

【ギル王国】が攻めて来た。
両軍の軍兵達は構える、そして戦闘が開始した。
最初に仕掛けたのはピーター、【ギル王国】の軍兵を彼の天才的な剣術で確実に一撃で仕留める。
次に大将のゼル
『天地両断!』
と、大きな声で叫ぶと同時に圧倒的な力で剣を縦に大きく振った、次の瞬間――。

天地が割れた

そして、その割れ目へ【ギル王国】の軍兵達が次々と落ちた。

勝てる! これなら勝てるぞ!

誰もがそう思った。だが、現実はそう甘くない。
前方に【ギル王国】の軍兵が一人、鞘に収まったままの剣の柄を掴み、構える。
そして――、

剣を鞘から抜くと同時に、一瞬にして周りにいた軍兵を味方もろとも斬り裂いた。