『メル!』
少女の父親らしき男が少女の名前を呼び、こちらへ来た。
『 ここにいたかまったくもう……ん? メル、この方は?』
『ピーターさんだよ、結構前からいるんだ!』
少女、いやメルがピーターを父親に紹介する。
『娘がお世話になっております、私はこの町の町長の【ケレー・サンクレス】です。宜しくお願いしますね』
「俺は【ピーター・クラム】だ、宜しく頼むよ」
『むっ! その錆びた剣……なかなかの業物だったのではないのか?』
メルの父親が剣を眺めながら言う。
「へぇ、分かるのかアンタ。」
『町一番の鍛冶屋の友人がいてね』
「そうなのか……出来ればその友人にこの剣を直して欲しいのだが……」
『ピーター君それは良いのだが、君にはお金が無いのではないかな?』
「あ……」
『まぁ、娘がお世話になってるから私が払おう、コレで貸し借りは無しだよ。』
「ああ」

鍛冶屋にて……

『こりゃあかなり錆びてるねぇ……まぁ大丈夫! なんとかして見せよう』
「すまないな……」
『いやいや、こういう仕事は毎日来てるからね』
「そうか」
『直るまでこの剣、使っときな……そうだな、とりあえず一週間後にまた来てくれ』
「分かった」
『そうだ、この剣の支払いは町長でいいんだな?』
『ああ、私で良い』
ピーターは代わりの剣を受け取り、店を後にした。