あれから一年後、ピーターは【ギル王国】にある小さな町の道の片隅で暮らしていた。
「…………」
一年前、彼に襲い掛かった生涯味わうことの無い絶望は希望という希望を食い尽くし、彼の生きる目的を完全に失わせた。
しかし何故彼はまだ生きているのか、その疑問はすぐに消えた。

『ピーターさん、生きてますかー?』
少女が背中に食パンを隠しながらピーターの名前を呼ぶ。どうやら、ピーターの生存確認をしているようだ。
「ああ、大丈夫だ……」
『目が死んでますけど。』
「うるせぇ、今日は何しに来たんだよ……」
『はい、どーぞ!』
少女が背中に隠していた食パンをピーターに見せる。
「なんの真似だ?」
『あげる!』
「そりゃどうも……」
ピーターはそう言いながら食パンを受け取り、口に入れる。
『どう? オイシイ?』
「ゴホッゴッホゴッホ……ひどい味だなこりゃあ……」
ピーターが咳き込みながら感想を言う。
『あー、やっぱり? 私のパンってなんか不味いんだよなー』
「なんてモン食わせんだ、不味いなんてモンじゃないぞコレ……」
『そ、そこまで言わなくても……』
少女が今にも泣きそうな涙目を浮かべながら言う、するとすぐにピーターがフォローに入った。
「ま、まぁ形はしっかり出来てるからそのうち美味しくなるハズだっ! ……多分。」
『ホントに!? やったー!』
「本当に単純なやつだな……」
ピーターが頭をかかえながら少女に聞こえない声で言った。