『んじゃ、【セロ・クラム】って覚えてるか?』
「誰だよ、そんな奴身内にいねぇよ。」
『そっかそっかー、それ俺なんだわ。』
「!?」
『八年前な、お前突然暴れだしたんだわ……ありゃあ怖かったなーwなんたって、拳一つで建物全壊だもんなw』
ピーターはそれを聞いた瞬間、八年前の事を薄ら思い出した。
「そうか、嫌なエピソードって事はよく分かった。」
『とりあえず俺はお前の兄貴だからそこ、宜しく』
「お前が、俺の兄貴? ふざけんな! 父さんはそんな事一言も言わなかったぞ!」
『当たり前だ、普通敵国に寝返った身内の話なんかしねぇよな』
「もういい、俺はお前らを倒しに来たんだ、身内ならラクに死んでくれよ」
『そりゃあ、無理な話だわw』
ピーターが剣を上から下へ剣を振り下ろす。
セロがそれを左手に持った剣で受け止める。
そして、右手で右から左へ剣を叩き込む。
「うぐっ……!」
多分助骨逝った、でも苦しんでる暇はない。
すぐに態勢を立て直し、セロの剣を叩き下ろす。
そのすぐ後に、ピーターはセロを数十メートル蹴り飛ばした。
『おぅふ……こりゃあ痛てぇ……w』
セロはすぐに起き上がった。
まだまだ全然余裕があるようだ。
『めんどくせぇ……』
突然セロが呟いた。
『やっぱり身内が相手ってのはなかなか辛いもんだな……しかも中途半端に力付けてやがるから余計にな……』
セロはそんな事を呟きながら、肩を回す。
そして――。

『面倒だ、シね』

それをピーターが聞いた時にはセロは目の前にいた、さっきのピーターより速い速度で。
セロが剣を振り上げている。
と、剣に意識を集中したのが最初のミス。
「うがァ!」
ピーターの腹にセロの本気の左の拳がノーガードで打ち込まれた。
次に右脚から顎へ蹴り上げ、これも本気。
そしてセロが飛び上がり、前に一回転してからの頭へかかと落とし。
ピーターが顔面から落とされる。
最後に全力の踏みつけ。
誰もが思った――。

ピーターが死んだ