電車の中にいた遼也先輩とひかる先輩は、後ろ姿で見てもお似合いなカップルみたいだった。
本当の所はわからない。
サッカー部のエースとサッカー部マネージャーという間柄だけかもしれないし、そうでない特別な関係者かもしれない。
ただ、今のところ二人の特別な噂は、耳にしたことがない。
「ね、元。二人は、付き合ってるのかな」
階段を上りながら、先に上る元に聞いてみた。
「あ?んな訳ねーだろ」
元はギロリと振り返って私を睨んできた。
「それなら良かったね、元」
「あ?何がいいんだよ」
「だって、それなら元にもチャンスあるじゃん」
私の言葉をうけ、元の足がピタリと止まった。
