私も先輩たちを乗せた電車に向かって立ち、元の横に並んだ。

「ドアがしまります」とアナウンスが流れる。

電車の中にいる遼也先輩とひかる先輩が見えた。
空いた席に並んで座った二人。

私と元が並んでホームに立ち電車を見送っていることには全然気がついていないようだ。


そりゃそうだ。

二人は私たちに背を向けて座ってしまったのだから。


ドアがしまり、電車がゆっくりと走り出す。

電車の中にいる二人の後頭部を見送る私たち兄妹。

元も私も電車の最後尾が見えなくなるまで律儀に見送っていた。

完全に電車が見えなくなって、元が呟くようにかすれ声で言った。かなり、まぬけだった。


「帰るぞ」

「うん......」

階段へ向かう元の背中が、どことなく憐れみを誘う。でも、私も元と同類だ。