「お前、なんで変な駅から乗って来たんだよ」
遼也先輩の隣の隣に立つ元が聞いてきた。ひとつしか年が違わないので、私は兄を元(はじめ)と呼んでいたりする。

「え?特に意味ないし。別にいいでしょ」

「なんだよ、つまんねぇ答えだな。もっと面白い答え方しろよ」

「なんでいちいち面白い答えしなきゃいけないのよ。芸人でもあるまいし、バカみたい」

「バカは、お前だけだよ。バーカ」

ムカつく奴だ。

ひとつ違いの為か元とは、しょっちゅうケンカになる。

「バカとか言うなよ。可愛い妹だろ?」
ムッとしてささくれだった私の心が遼也先輩の一言で丸くやわやわになっていく。