「久しぶりだね、明日美ちゃん。元気だった?」
にっこり笑顔を見せてくれた遼也先輩の頬には、私の大好きなえくぼが出ていた。

イケメンな遼也先輩を少年みたいに無邪気にみせるこのえくぼは、正直ヤバい。

はじめて、遼也先輩のこのえくぼを見たときに、私は恋に落ちてしまった。

なんて素敵な笑顔なんだろうって思ったから。

「はいっ!とても元気でした。先輩は、お変わりなく?」
先輩の隣に立ち、そっと遼也先輩を見上げた。

「うん、変わりないよ。あ、明日美ちゃん、つり革掴む?」
遼也先輩は、私のために右に少しつめてくれて、しかも自分が掴んでいたつり革を離して譲ってくれた。

「わっ、すいません。ありがとうございます」

たった今まで大好きなな遼也先輩が掴んでいたつり革だ。

少しあたたかい。

他の男が掴んでいたつり革をすぐに掴むのは、抵抗がありまくりだけど、遼也先輩の場合は違う。

むしろ、嬉しい。
優しい遼也先輩に、また恋心が増していく。