関さんが辞めることになるのは正直、予想外だった。今まで我慢していたのに、やっぱりたえられなかったんだ。


そう、だよね。あの2人について行けないのは私も同じ。

そっか、関さんも辞めちゃうんだ。


ガツーンと頭を叩かれたような気分。椅子に腰をおろして頭を抱えて顔を伏せる。


すると、持っていたスマホが揺れる。表示されていたのは先ほど消した知らない番号。拒否ボタンを押して電源を切る。ロッカーの鞄に投げ入れ鍵をかけた。


「…はぁっ」


私って性格悪いかもしれない。今のため息は、辞める関さんへの嫉妬。この志田大帝国から解放される事を羨ましいって思ってしまった。


こうなったら、私も芋づる式に辞表を出して地元に帰ろうかな。両親には怒られるかもしれないけど。


聡くんの事もあるし…


「辞めようかな…本気で」


そう呟いた言葉は静かな部屋に響いて消えていった。