その系列ホテルと言うのは『ヴィア・ラッテア』の社長である桐生凛太朗の父親、桐生銀治郎が会長を務めるホテル。


桐生銀治郎の曽祖父がもともとは低価格のホテルを経営していたが、世代が変わるにつれ低価格ホテルを含め高級ホテルへ参入した。


その後は、国内と国外にコスパがいいホテルを含めて100店舗以上建設。


10年前に銀治郎が大々的な改装工事と料理メニューなどの見直し、接客の質をあげる教育を叩き込んだ。そのおかげで、どの店舗も料理やサービスを含めて口コミがよく売上は右肩上がり。


現ホテル王と呼ばれている桐生銀治郎。


そしてその一人息子である桐生凛太朗もこれまた凄い。父の企業を継ぐため『ヴィア・ラッテア』を5年前にオープン。その1年後には都心にもう一店舗、北陸のリゾート地に一店舗。


海外には三店舗。僅か5年目でその実力はホテル業界で名を連ねる。


新星ホテル王。そんな肩書きは伊達じゃない。


志田さんはその桐生銀治郎が管轄する系列ホテルから移動して来た。なんでも、旦那さんが転勤するため『ヴィア・ラッテア』の方が新居から近いとの理由で。


清掃部での職務歴は20年以上。私はその当時の話は知らないけれど、入社してから数ヶ月で新人泣かせが始まり、志田大帝国を築き上げた。


私の前には10人が短い期間で辞めていて、何故かと疑問だったけれど、働き始めて分かった。


毎日のトイレ掃除、そして理不尽な怒りをぶつけられて、面倒な仕事を新人の仕事だからと何かにつけてその決め台詞を問答無用で言う。