席に腰を下ろして、凛太朗さんを見上げる。


「店の名前言わなかったのに、よく分かったね。このハンバーガーの店だって」

「はい。なんとなく…直感です」


このハンバーガー店は、私と凛太朗さんが初めて一緒にご飯を食べた店。その後も、1度だけ来た。だから、あの店と言われて浮かんだのはここだけ。

「そっか。もしかして、マンションにいた?」

「はい…」

「遠かったね。ごめんね。もっと早く連絡すれば良かったけど…なかなか出来なくて」


私から視線を外した。人差し指で頬を数回撫で、外した視線を元に戻す。


「それで、前置きとか凄く苦手。だから…到着早々で悪いんだけど…本題は…その、今朝はごめん。何も言わないで出て行って。最低な男だよね」


苦笑いを浮かべる彼に、右、左と首を振る。

「いや、最低だよ。あんな流れのまま…抱いて、朝になったらいないとか。不安にさせたよね」

「….…」


否定は出来ない。だって、不安になって、寂しかったのは事実だから。

嘘はもう彼にはつけない。言いたい事は、凛太朗さんに言わないといけないんだ。