「まぁ、他の方が賛成する理由は様々ですけど、皆さん社長を慕っているからですよ。もちろん、私も慕っていますけど…私は、私との約束を守ってくれればいいのです」


そう言えば、前に約束とか言っていた気がする。

「その、約束とは?」

「私を桐生グループに引き入れる際の約束です。社長を支えるかわりに、この業界で一番になると。なにせ、私の内定を根回して取り消しさせた男ですよ。そのくらいの地位になってもらわないと満足出来ません」


「なるほど。では、凛太朗さんは頑張らないといせませんね」

「もちろんです。なので、結婚相手は一番になれば誰でも良かったですけど、華子さんでよかったと今なら思いますよ。なにせ、今まで社長の周りにはロクな女性がいなかったもので」


「そうですか?凛太朗さんに素敵な女性なんて山ほどいたと思いますよ」

「私が、ピアスを持って行った事を覚えていますか?」


ピアスって、系列ホテルに備品を取りに行った時、車に乗せてもらった。翌日には、身に覚えないピアスを針谷さんが落ちていたと言って持って来たことだよね。