「社長に電話を掛けてもそう言う気分なんだろう…その一点張りでした。心なしか元気もないようですが、何かありましたか?」

「それは…」

ありまくりだけど…男性の針谷さんには言いにくいかも。


「まぁ、何かあった事は間違いないようですね」

「は、はい。あの、目立つのでこっちに」

針谷さんの腕を掴み、人目のない所に移動する。


「ところで、凛太朗さんは会社にいますか?」


「先ほど会長からお呼出があったので送って来た所です。今日はそのまま直帰するとの事ですよ」

「そうですか…」

帰って来てくれるってことだよね。


ホッと胸を撫で下ろしてから、壁に背中を添える。それを見ていた針谷さんは私と同じように壁に寄りかかった。

「まぁ、何があったのか分かりませんが…上手く事が運ぶといいですね。応援しています」


「あ、ありがとうございます。あの、前から聞きたかった事があるんですけど、針谷さんって…この結婚の事全然反対とかしなかったですけど…本当はどう思っていますか?」

「随分と唐突な質問ですね」

「すみません。でも、いつか聞いてみたかったんです。針谷さんだけじゃありません。皆んな、応援してくれて…」


反対する人なんて今までいなかった。